民間の生命保険会社で販売されている医療保険の保険料は以前に比べて、値下がりして安くなってきています。
今は保険料が安い医療保険が次々に開発されて販売されていて、
その度に後発のものは安くなっています。
これはなぜでしょうか?
医療保険値下げの背景
保険会社に聞いてみると、「企業努力で割安な保険料なんです」
という答えが返ってきます。
しかし、それだけでここまで下がるはずがありません。
例えば、同じ保険会社の商品であっても、新商品に乗り換えると5年前に入った保険よりも掛け金が安く内容が良いものになるということが往々にしてあるのです。
これが企業努力という一言で終わらせることができれば、これまでどれほど努力していなかったかということになりますが、そうではありません。
実は、入院保険の掛け金が下がり続ける裏側には、平均入院日数の減少があります。
平均入院日数の減少が医療保険料減少の原因
現在では各社いろいろな商品が出てきていますが、
主な医療保険は「1日入院したら1万円を支払います」といった【日額保障】がメインです。
例えば、以前は入院すると30日くらい寝ていられたのが、
20日で退院できるとなると保険会社としては10日分支払いが少なくなるので、
保険料を3分の2に抑えても大丈夫ということになります。
データはいろいろとあるので一概には言えませんが、
厚生労働省「平成22年医療施設調査・病院報告の概況」によると、
1996年には32.8日だった平均入院日数が、2002年には22.2日、2010年には18.2日となっていて
14年の間に45%も減っています。
そして、現在も減少の一途をたどっています。
平均日数が約半分くらいになっているのですから、
保険会社が支払う保険金も少なくなるのは当然のことです。
このようなカラクリで医療保険の保険料は下がり続けているのです。
入院日数が減少している原因
なぜこれ程までに入院日数が減ってきているかというと、
- 医療技術の進歩
- 診療報酬の改定
この2つが大きな要因です。
医療技術が進んだ結果、体に負担をかけずに早く治せる治療が出てきたのが一つ。
しかし、最も大きいのは「診療報酬の改定」です。
入院期間2週間以内の診療報酬が高く、
2週間以降の診療報酬が低く設定されていることが起因しています。
このような背景があり、最近では病気になっても長くは入院させてもらえません。
入院保険金が支払われる金額が減少しているので、保険料は下がってきているのですが、
それにともない退院後の保障が大切になってきています。
東京海上のメディカルKitのように就業不能状態で支払われるものや、
退院後の通院保障を手厚くして対応するなどの対策が必要ですね。
医療保険の保険料が値下がりして安くなっているのはこんな背景があります。